アメリカに住む65歳以上の高齢者4000人の血中コレステロール値を測定し、その後5年間の生死を調べた研究があります。
この研究によると、血中コレステロールが低い人の方が高い人より死亡率が高いという結果でした。
本当にそうなのでしょうか?
詳しく見てみると、この研究は血中コレステロールが高かった人たちの7割以上が65歳〜80歳で、その8割が女性でした。
高齢者で同じ年齢なら男性の方が死亡率が高いです。
この年齢と性別の分布を鑑みると、血中コレステロールが高い人たちで死亡率が低かったのは、より若い人や女性が多く、必ずしも血中コレステロールが高いからというわけではないという見方もできます。
年齢、性別、各種血液データ(血清鉄、血清アルブミンetc)などの「交絡因子」を全て同じ条件だと仮定して計算し直すと、血中コレステロールが低い人たちの死亡率は下がり、高い人たちよりも低くなります。
標準範囲の人たちの死亡率が最も低いです。
日本人を対象とした研究でもほぼ同様の結果だったようです。
研究結果としてはどちらも正しいのですが、健康管理に役立てるための情報としては交絡因子を考慮して計算された後者のデータだと思います。
このことから考えても、標準的な範囲でコレステロールを管理するというのは健康管理として大事であるとわかりますね