C型肝炎の治療法がさらに進歩

昨日は、新たなC型肝炎治療に関する講演会に参加しました。

今年10月より新たに経口薬2剤(アスナプレビル、ダグラタスビル)が発売されました。
この経口薬は、直接的にC型肝炎ウイルスの増殖を阻害しますので、インターフェロンを使用しなくてもよいものです。
そのためインターフェロンを使用した場合に起こる副作用を気にしなくてすむことは大変なメリットです。
特にインターフェロンによるうつ状態は、治療を受けた方がもう2度あんな経験は嫌だというほどつらいもののようです。

新たな経口薬治療は、すべてのC型肝炎患者さんに適応かというとそうではありません。
インターフェロン治療ができなかった方または効かなかった方という制約があります。
なぜでしょう。

経口薬は、すべてのC型肝炎ウイルスに効くわけではないからです。
C型肝炎ウイルスに変異があると経口剤が効きにくくなります。
すべてのC型肝炎罹患者に経口薬を投与すると、経口剤が無効の変異を持ったウイルスを増やすことになります。 抗生剤乱用の結果生じた耐性菌と同じことです。
これを防ぐために経口薬使用に関して制約を設けているのです。

ウイルスのどの部位に変異があると効きにくいかわかっていますので、経口薬を投与する前に変異の有無を必ず調べる必要があります。 変異がある方は、治療の対象になりません。
これによってC型肝炎治療には、インターフェロンを用いる治療と抗C型肝炎ウイルス剤による経口薬治療の選択が可能になりました。

2つの療法で、作用メカニズムがまったく異なります。

インターフェロン療法は、患者さんの免疫反応を活性化してウイルスを排除するものです。
そのために患者さん側の肝臓の繊維化の程度やインターフェロンを十分量使用できるかが治療の鍵になります。

経口薬は、ウイルスに変異があるかないかが鍵になります。
こういうような点を考慮した薬剤の選択が治療の重要なポイントです。

肝炎治療も、リウマチ治療と同様に肝疾患専門医による治療が不可欠な時代となりました。
適切な治療であれば、どちらの治療でも90%以上の治癒が望めますのでC型肝炎の患者さんにとっては待ちに待った朗報です。

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