働き者も疲れる・・・慢性腎臓病

人体の臓器は、本当に働き者です。 心臓は、1分間に60回として一日で86,400回拍動を正確に拍動しつづけることになります。 心臓だけでなく肝臓や腎臓なども生まれてから休むことなく働いています。

腎臓もとても働き者です。血液をきれいにする働きをしています。
血液をろ過し原尿を産生し、ほとんどの水と電解質は再吸収して尿を排泄するという離れ業を行っています。

腎臓は、年齢とともに次第に機能が低下しまう臓器です。
高齢化社会を迎え透析をうけていらっしゃる方も29万人に達し、400人に1人が透析を受けていることになります。

初期は自覚症状まったくなく、機能がかなり低下してはじめて浮腫や倦怠感などの症状が出現します。沈黙の臓器と言われるゆえんです。
初期の腎臓の機能低下についてもっと注意して悪化するのを予防しようということで慢性腎臓病(CKD)という疾患概念が2002年より提唱されました。

腎障害、あるいは腎臓機能の低下が3ヶ月以上続いたものをCKDと診断します。

腎障害とは、尿タンパクがでること、あるいは画像、組織検査により病的な変化が見られることを指しています。検尿でタンパクが出ているかどうかが重要で簡単にCKDを調べることができます。

腎機能の低下とは、腎臓のろ過機能が低下していることを示しています。
腎臓のろ過量は、採血検査により糸球体ろ過量GFRを調べ60未満であればCKDと診断してよいことになります。
原因はなんであれ腎臓の働きが低下した病像をすべてをひっくるめてCKDという疾患名にポイと入れ込んだわけです。

いろんな病態が解明されて病気が細分化される中、時代に逆らって大雑把にまとめたわけです。

腎疾患の専門家でない私としては、CKDという概念ができたことはよかったと思っています。

CKDという概念がない時には、腎疾患は腎炎などいろんなタイプに分類されており組織をとって調べないと診断がつかない状態でした。

私は、腎臓病は組織を調べないと診断もつかないし、やっかいな疾患だという思いがありました。
CKDと病名により腎機能低下が低下された方に腎機能を守ることの大切さを説明しやすくなりました。
CKDのリスクファクターについて記します。

・高齢
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・肥満
・高尿酸血症
・喫煙
・鎮痛剤の連用

いつも登場する疾患ばかりですね。そうです、生活習慣病の予防がCKD予防・改善につながることを知っていただきたいと思います。

もう一つCKD対策で重要なことは、食事で塩分制限とタンパク摂取の制限です。
このようなことを理解して働き者の腎臓にこれ以上負担をかけさせないようにしてあげてください。

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