フレイル(脆弱性)という言葉が4年前から医療分野ではよく使われるようになりましたが皆さんご存知でしょうか。
高齢者をみる場合は、年齢や疾患だけにとらわれず全身の老化状態を判断する必要があります。
その目安がフレイルという状態です。
わかりやすくいうと筋力や心身の活力が低下した状態のことです。
自立した状態から要介護状態の中間の状態と考えてよいでしょう。
以下のような評価基準があります。
① 体重減少:6ヶ月間で2~3kg減った場合
② 倦怠感:わけもなく疲れた感じがするに「はい」と返事した場合
③ 活動量:「軽い運動・体操を1週間に何日くらいしていますか?」
「定期的な運動・スポーツうぃ1週間に何日くらいしていますか?」
の2つのといにいずれも「してない」と回答した場合。
④ 握力:男性26Kg未満、女性18Kg未満の場合
⑤ 通常歩行速度:1m/秒未満の場合
5項目うち3つ以上にあてはまる場合はフレイル状態と診断されます。
フレイルの方は、ない方に比べて寿命が短くなると報告されています。
高齢患者さんは、身体疾患だけでなくフレイルをチェックする必要があるでしょう。
上記のフレイルの診断基準で簡単にでき、わかりやすいのは握力測定です。
そこで私は、外来で今月より握力計を診察机に置いています。
高齢の患者さんに対して診察の終わりに握力を測定していただき基準値以下の場合は、倦怠感、体重減少や運動をしているかを問うようにしています。
フレイル状態は、まだ回復することが可能です。
フレイルと判断された方には以下のようなアドバイスをします。
① たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事を摂ること
特に肉、魚、卵、大豆などでたんぱく質を摂ること、やせないようにすることが重要です。
② ストレッチ、ウオーキングなどの運動
運動は、ウオーキングなどの有酸素運動だけでなく、適度な筋トレが必要です。
③ 地域活動、デイケアなど多くの人と接して話をできる機会を設けること
他の人との関わりでいきがいと思える活動ができるのが一番よいことです。
④ 感染予防(インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種と手洗い・うがい)
⑤ 薬の種類が多い人は主治医と相談して減らすこと(目安は6剤以下に)
これで少しでも患者さんの健康維持につながればよいなあと考えています。