認知症、生活習慣病改善を

外来を受診している患者さんを診ていると徐々に認知機能が低下して来ているかなあと思うことがあります。どんなところでそう思うかというと、次のような点です。

・予約日をちょくちょく忘れるようになり、予約日以外の日に来院するようになる。
・きちんと服用していれば、お薬がなくなるのにずいぶん余りがある。
・薬を紛失したと言って来院する。
・診察時の会話で話がかみ合わない。
・同じ話を何度もする。

こんな時に、介護申請手続きをしているかどうかを尋ねるようにしています。
もの忘れがあっても安心して暮らせるように支援を行なう制度があることを伝えます。
申請してない場合は、転ばぬ先の杖だからと手続きをすることを勧めます。
申請している方は、利用しているか尋ねます。

困った時には、人に頼ることは恥ずかしいことではなく良いこと、制度は、皆で助け合うためにつくられているのだから多いに利用すべきだと話をします。
ご家族にも、ケアマネや地域包括支援センターの担当者から家庭での状況を尋ねていただきます。
そして認知障害に関して理解していただくようにします。
すべて手伝うのではなく本人のできることはできるだけ本人にしてもらうように伝えます。
社会性の維持するために家族以外の人と接する機会を増やすようデイサービスの利用などを勧めます。

認知障害の方と家族の間では、さまざまな感情が交差します。
認知障害の方は不安、混乱、孤独感、抑うつ感、家族は責任感と負担感を感じます。
この感情がこじれ、ぶつかると認知障害者は混乱が増して妄想などの周辺症状を起こします。
このような悪循環におちいるのを防ぐには家族は以下のような対応を心がけることです。

・認知障害の方の能力の低下を理解して過度に期待しないこと
・簡潔な指示や要求を心がける
・認知障害の方が混乱したり、怒りだす時には要求を変更する
・失敗につながるような無理な要求や作業はさける
・不必要な変化を避ける
・障害に向かい合うことを強いない
・穏やかで安定した支持的な態度を心がける
・わかりやすく説明しヒントをあたえる

もの忘れがあってもいいんだよおおらかな気持ちで接し、認知機能が低下した方の尊厳を保ちながら楽しく過ごせる社会をつくってゆきましょう。

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