今年は長雨による冷夏だったせいか、10月になりずいぶんと肌寒くなりました。この時期まだ暑かった昨年とはかなり違います。
気候の移り変わりで病気の流行も変化します。良かったのは、蚊がいなくなりデング熱騒ぎが消滅したことです。でも替わってインフルエンザ罹患者がすでにでています。医師会からのニュースで何名かの方がA型インフルエンザに罹患したとの報告があったそうです。10月からすでにインフルエンザワクチンを医療機関で打つことができます。
インフルエンザワクチンは、どのくらい効果があるのかというデータがあります。従来は、発病予防効果は成人で70~90%あり、高齢者で30~50%くらいと考えられていました。アメリカの調査では、健康成人の発症防止効果は50%以下であり、高齢者では9~11%であったという結果が発表されています。これをみるとワクチンを打つのをやめておこうかなという気持ちになりますよね。お金はかかるし、病院へ行くのがめんどうだし、痛いし、、、
確かに個人個人がインフルエンザにかかるかどうかは運任せです。ワクチンで接種したのと異なるタイプのインフルエンザが流行っていたら罹ってしまいます。でもワクチンの効果を考える場合、自分のことだけでなく社会全体への効果を考えるとよいと思います。
日本では、1960年代に学童期にインフルエンザワクチンを義務的に集団接種していました。有効性に疑問が強まるとともに、ワクチン接種の副作用が大きくとりあげられ、1994年より受けたい人だけがうける任意接種に変わってしまいました。
義務で全員接種していた時と任意接種になってからなにか変化があったでしょうか? 学童のインフルエンザ罹患や、それによる死亡率は変化がそれほどありません。ところが学童集団義務接種の時代は、高齢者や幼児のインフルエンザによる死亡数が少なく、集団接種中止以降にインフルエンザ死亡者が増加したというデータが報告されています。
こうなると学童や成人がインフルエンザワクチンを接種することは、自分がインフルエンザにかかるのを予防する以上の意味を持つことになります。多くの方がワクチンを接種うけることでインフルエンザまん延を防ぎ死亡者を減らすことができるということです。
インフルエンザワクチンを打つことは、簡単にできる社会貢献と考えることができます。自分を守り、家族を守り、さらに社会の幼児・高齢者を守るためにインフルエンザワクチンをぜひ接種しましょう。