一昨日は、午後から訪問診療に行ってきました。
ご覧の通り山の斜面に建てられているので車も家の前につけることができない家も多いです。
どうしても階段や坂を上り下りしなければなりません。
高齢になり足腰が弱り階段、坂道を通院するのはつらいことです。
通院したくてもできない方のために毎週でかけています。
訪問診療で実感することの一つは、診察室で診るのと自宅で診るのでは患者さんの様子がかなり違うということです。クリニックに来院された時は、来るだけで疲れてしまうのでしょうか。待ちくたびれてしまうのでしょうか。
どの方もおとなしくよそ行きの感じです。
でも自宅ではとても元気に見えます。
A子さんは、娘さんと二人で暮らしています。
80歳ですが、私が行く時にはうっすらと紅をひいてお化粧をして待っていてくださいます。
耳が遠いのでカードを使って会話をします。
目はいいので今でも読書をして楽しんでいます。
B子さんは、ご主人と息子さん夫婦と一緒に暮らしていらっしゃいます。
ほとんど食事もとれずに寝たきりの状態が2年以上続いています。
ほとんど骨と皮といってよいほどやせていますが、自分でトイレにたちあがったり食事を要求する時もあります。
この姿をみていると人間って本当に強いんだなあと思います。
80歳を過ぎているご主人が一生懸命に世話をしている姿が微笑ましいです。
C子さんは、娘さん家族、お孫さん、ひ孫さんと一緒に暮らしています。
認知症があるためになんでもすぐに忘れてしまいます。
でも私が訪問すると、とびっきりの笑顔で迎えてくれます。
訪問すると病状だけでなく本人を取り巻く生活も見ることができます。
私たちは、みなそれぞれ生活の中で生き、生かされているのだなあと実感します。
家族による献身的な支えは、かかせません。
どの家族もとても協力的で優しいですね。
自宅では、家族だけでなくすべての環境が一人ひとりの生活を応援しているように思えます。
訪問により通常とは異なった視点で診療することができることは私にとって喜びとなっています。
家族と生活環境という強い味方の下で健康を支えるお役に立つことができればと思っています。