長年勤めていた会社を辞めてゆっくり自宅で過ごすようになると気分的はゆったりします。そればかりでなく体調面で変化がでる方も多いものです。
どんな変化が起こるかというと、意外と多いのが便秘がちになることです。
便秘というと女性の問題と考えている方がいらっしゃいます。
女性が若い時から便秘がちなのは、女性ホルモンが大腸の動きを抑制するためです。
男性の場合は、若い時はほとんど便秘に縁がない方が多いですが、
60歳を超えるとしだいに便秘気味になってきて、80歳代では、便秘に男女差はなくなります。
退職後に便秘する方が増える理由は年齢的なことだけでなく、
仕事していた時のように規則正しい生活ができなくなることです。
特に朝の排便習慣がなくなること、運動量がへること、飲水量が減ること、
排便を促す腹筋などの筋肉量低下することなどが原因となります。
基本的な治療は、下剤に頼らず食事、運動で腸の働きをよくすることです。
食事では、繊維質を多く摂るために野菜を多めに食べることが大切です。
推奨されている量は1日20gですから、キャベツ1玉分くらい必要です。
かなり意識して食べないと食べられる量ではありません。
運動は、歩くことが基本です。最低1日6000~8000歩くらい歩く習慣を付けたいものです。
またお腹を「の」の字にマッサージしたり、体幹を左右にひねる体操もお勧めです。
水分を多めに摂ることも大事です。
朝から1杯の水分摂取することはとても健康によい習慣です。
朝食後にトイレに座る習慣もつけましょう。
どうしても下剤を服用しないと便がでないという方は、まず緩下剤(カマグ、マグミッド、マグラックス)を使用することをお勧めします。
アミティーザという新薬もでましたが、値段が高いのが欠点です。
アローゼン、フォルセニド(センノシド)などの刺激性下剤は、出ない時に使用するのが基本です。
常用すると効きにくくなります。
刺激性下剤を使用すると、便秘か下痢かの極端な状態になりがちです。
高齢者に多い便秘、普段の日常生活習慣改善により対処できるようにしましょう。