糖尿病というと中年で体重が増えて発症するものと思われがちです。
でもそうでないタイプもあることをご存知でしょうか。
糖尿病は、大きく分けて2タイプに分類されます。
1型糖尿病と2型糖尿病です。
体重が増えて血糖値が高くなるのは2型で、糖尿病の90%以上はこのタイプです。
一方、1型は頻度は少ないのですが発症するとインスリン治療を必要とします。
自己免疫異常が原因でおこると考えられています。
自分の膵臓に対する自己抗体ができてインスリンを分泌するβ細胞の破壊が起こります。
そのため血糖を下げる働きをするインスリンが不足して高血糖になります。
1型糖尿病は、一般の診療所の外来で診ること少ないのですが見逃してはいけない病気です。
典型的な1型糖尿病は、若い方が重度の高血糖で来院するというイメージです。
でも一概にそうと決めつけられないタイプがあります。
発症形式から1型糖尿病には①急性発症型 ②劇症型 ③緩徐進行型があります。
1型糖尿病でもっとも多いのは①の急性発症型です。
発症から数か月かけてインスリンが必要な状態になります。
②の劇症型は、β細胞の破壊が急速に進み1週間以内に高血糖が起こりふらふらになって病院を受診します。
ひどい口喝を生じ、体液が酸性に傾き意識状態低下もきたす場合があります。
生死にかかわる、とても危険な糖尿病です。
このような早期に重症化する糖尿病は、1型と判断しやすいのですが、
③の緩徐進行型は、数年かけてゆっくりとインスリン分泌が低下しますので2型と区別がつきにくいタイプです。
早期に適切な治療を開始した方が、合併症を予防できますのでできるだけ早く見つける必要があります。
診断には、自己抗体(抗GAD抗体)を測定することです。
自己抗体が陽性の場合は1型糖尿病と診断できます。
(ただし抗体価が7以下の場合は、擬陽性のこともあるので半年後に再検すること)
私の外来でも緩徐進行型1型糖尿病の方が2名います。
始めは2型と思っていたのですが、経口薬で血糖コントロールが難しいため抗GAD抗体をチェックしたら陽性でした。
治療には、初期にはインスリン分泌がまだ保たれていますので基礎インスリンの他にメトグルコやGLP-1作動薬という薬を併用します。
徐々にインスリン分泌が低下しますので、悪化する前に食前の速攻型インスリン注射を開始する必要があります。
肥ってないのに経口薬でコントロールが上手くいかない場合は、ぜひ1型糖尿病も疑って検査をうけていただきたいと思います。