胃の内視鏡検査をしていると食道下部に発赤を認めることがよくあります。
ひどくなると潰瘍形成している場合もあります。
これが逆流性食道炎という病気です。
胃液が食道に逆流して強酸により炎症が起こったものです。
この病気の症状は、胸やけです。
胸やけとは、どんな症状なのか。なった人しかわからないものです。 私も最近まで全くわかりませんでした。
ところがこの頃、食後に何か上腹部に違和感を覚えるようになりました。
これがひょっとすると胸やけではないかと思い、内視鏡検査を受けたら軽度ですが明らかな逆流性食道炎がありました。
そこで特効薬であるプロトンポンプ阻害薬を服用したら見事にこの違和感は消失しました。
はっきりした食道のビランがない場合でも胸やけ症状を訴える方がいらっしゃいます。
この場合は、非ビラン性逆流性食道炎と言います。
しかしこの場合は上部消化管の運動機能低下によるもの機能性ディスペプシアという病気と病態がかぶり明確に区別がつきません。
昔であれば神経性胃炎と言われていたものだと思います。
だから非ビラン性逆流性食道炎とか機能性ディスペプシアという病気には、いまひとつ薬が効きにくい感じがします。
話を逆流性食道炎にもどします。
どんな方がなりやすいかというと肥満の方、高齢者です。
肥満の方は、寝ているとお腹の脂肪により胃が圧迫され胃酸が逆流しやすくなります。
また肥満の方は、過食をしたり、夜間に食べたりすることが多いのも発症の原因になります。
高齢者では背骨が曲がってくることにより食道の走行が蛇行し、さらに胃の一部が引っ張られて横隔膜の上部に飛び出す食道裂孔ヘルニアになるため逆流性食道炎になります。
このような場合は、かなりひどい炎症が起こっていることが多いです。
老化により骨粗鬆症が進行し背骨の圧迫骨折を起こし、さらに逆流性食道炎が起こるという病気の連鎖が起こるのです。
座ってばかりの生活を続けているとどうしても姿勢が悪くなりこのような病気になりやすくなります。
さあ時に大きく背伸びをしてみましょう。
そして背筋を伸ばして歩きましょう。