日本人の死因の3位に・・・肺炎

これまで日本人の死因の第1位は癌、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患、そして第4位が肺炎でした。
H23年の死因別統計で、過去50年以上第4位であった肺炎が第3位になりました。

肺炎は、昭和14年までは死因の第1位でしたが、抗生剤の開発と普及により死亡者は激減しました。
昭和50年代から再び増加し始めてついに脳血管疾患の死亡者を超える数になってしまいました。

肺炎死が増えたという現象は、社会の高齢化が進んだということを意味しています。

高齢になり食事に介護が必要になったり、寝たきりになったりする段階になると誤嚥性肺炎を起こします。
何度も誤嚥性肺炎を起こし入退院を繰り返し、最終的には呼吸不全になって亡くなるという経過をたどります。
ほとんど飲みこむ力の衰えに起因した肺炎であり、老衰いってもよいのが肺炎死です。

高齢の方で少しでも肺炎を予防するためには、肺炎球菌ワクチンを接種することをお勧めします。
一回接種すると5年間は有効です。
ただし肺炎すべてが予防できるわけではありませんので誤解ないように。

60歳以下の若い世代では、咳を主症状とした肺炎が流行することがあります。
マイコプラズマ肺炎です。

マイコプラズマ肺炎の診断に有用な基準を以下にあげます。

1) 60歳未満で基礎疾患を認めない。
2) 頑固な咳が続く
3) 聴診器で診察しても異常所見が乏しい
4) 検血検査で白血球数は正常である
5) 胸部レントゲンでスリガラス状の陰影所見を認める

若い方で、頑固な空咳が続くような場合は、マイコプラズマ肺炎を疑ってかかりつけ医を受診されるとよいと思います。
マイコプラズマ肺炎であればマクロライド系の抗生剤を処方していただくと劇的に病状が改善します。

それでも咳が止まらない場合は、アレルギー性の疾患、いわゆる咳喘息を疑う必要があるでしょうね。

現代の日本人は、とても清潔観念が強いですが、それでも細菌やウイルスを完全遮断することは不可能です。

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