暑い夏が到来です。
なんか陽射しが強くて、昼間ちょっと外にでただけで汗だくです。
この時期、脱水も加わり夏バテになります。
食欲が落ちて、よけい元気がなくなります。
食事がおいしいとそれだけで気分が良いものです。
逆に胃もたれして食欲がすすまないと気分が落ち込みますよね。
食事、睡眠、排便は健康の基本的な要素です。
外来診療でこの3つの点は必ず聞くようにしています。
少し病気のところがあってもこの3点が問題なければ、そう心配いらないと思っています。
夏の暑さは、この3点を狂わせるるため夏バテになります。
食事と排便は、ともに胃や腸といった消化管が役割を担っています。
食べたものを胃と腸で分解して吸収、そしていらないカスを排泄することを一日中無意識で行っているのです。本当にすばらしい仕組みですよね。
胃は食べたものを一時的に貯留し、酸で消毒、酵素で分解して腸に送り込みます。
小腸は、食べ物を分解して消化・吸収します。
消化管で一番長い小腸は、幸いなことにほとんど病気がありません。
その理由は以下の3点です。
・絶えず粘膜上皮細胞が入れ替わっているため
・免疫機構が発達しているため。
・細菌がいないため。
食事は、約6mある小腸を4~7時間で通過します。
大腸に入ると粘膜は、つるりとした上皮に変わります。
栄養素の吸収は行われず、水分の吸収のみがなされます。
大腸が水分を一番吸収する臓器と思いがちですが、実は違います。
腸内には胃液、腸液を含め10Lくらいの液体がありますが、ほとんど80%は小腸で吸収され、あとの10~20%の液体を大腸で吸収します。
大腸内では、食べかすは10~30時間かけてゆっくり進み排便されることになります。
内視鏡で見ても明らかな疾患がないのに胃もたれ、腹痛、排便異常などの症状を呈することがあります。
こういう病気を機能性消化管障害(FGIDs)とよびます。
胃を中心に胃もたれ、胃痛などの症状がある場合を機能性胃腸障害(FD)と言い、
腸を中心に下腹部痛、排便障害がある場合を過敏性腸症候群(IBS)とよびます。
どとらもストレスなども影響しますが、食事内容によりかなり症状がでます。
基本的に油っぽいもの、肉類はFGIDsの原因となります。
アルコール多飲も胃もたれや下痢を起こします。
FGIDsの原因には、意外と胃のピロリ菌や腸内細菌が関与しているようです。
食べ物により腸内細菌が変化する事が、下痢や腹満の原因になります。
とくに歳とともに腸内細菌の状況が若い時と違ってくるためFGIDsを起こす事が多くなります。
FGIDsの方にはビオフェルミンのような善玉大腸菌製剤を処方するだけでもよくなるようです。
この夏も夏バテをしないように、食事・睡眠を十分にとれるように工夫しましょう
食事では、胃腸の調子を整える食べ物・食べ方(動物性脂肪を摂り過ぎない、食物繊維を多く、暴飲暴食を避ける、よく咬んで食べることなど)を心がけて上手に乗り切っていただきたいものです。