大腸内視鏡検査を受けよう・・・大腸がん

超高齢化社会となりがんが増え続けています。
しかし、すべてのがんが増えているわけではありません。
消化器がんの中で胃がんは減っていますが、大腸がんは増えています。
大腸がんによる死亡者数は、女性では1番です。
実際にどのくらい大腸がんの患者さんがいるのか、
昨年度、私が施行した大腸内視鏡検査症例をまとめてみました。

1年間で総数616例の大腸内視鏡検査を行っています。
男性371例、女性245例と男性の方が多く検査を受けていらっしゃいます。
女性は、やはり検査を受けることを恥ずかしいとためらうのでしょう。
これが女性で大腸がん死が多い理由だと思います。

検査を受けた方の年齢層は、19歳から91歳の方までで、年齢の中央値は65歳でした。
10代~30代の若い世代で検査を受けていらっしゃる方は、
がん検診の目的ではなく潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患疑いの方です。

616例のうちでポリープを認めたのは、223例(36.2%)でした。
そのうち5㎜以上のポリープがありポリープ切除を施行したのは、81症例(13%)でした。
切除したポリープの病理組織検査の結果は、大腸がん16例、良性腺腫65例でした。

確定がんは、検査症例の2.6%です。この割合はかなり多いと思います。
50歳代以上で健診を受けた方の数は、509例ですから3.1%です。
老人会などで100人集まれば3人は大腸がんの方がいらっしゃることになります。
良性腺腫も大腸がんの場合は、大きくなればがん化する可能性があるので50歳以上で15.9%(81例)の方が、がんもしくはがん予備軍と言えるでしょう。
検査を受けた方は、まったく自覚症状ない方がほとんどですからとにかく検査を受けることが早期発見につながります。

大腸検査は、とても痛くてつらいというウワサや思い込みで検査を受けることをためらっていらっしゃる方がいます。
私が行った大腸検査では、大腸の最後の部位(回盲部)に到達するまで時間は中央値が6分1秒でした。
したがって半数の方は、6分以内で最後まで観察できます。
なかには腸管の癒着がありどうしても痛みがある方もいらっしゃいますが多くの方は、痛みもなく終えることができます。
胃内視鏡検査よりも楽だという方も多数いらっしゃいます。

ポリープとして見つかった大腸がんは、内視鏡で切除してしまえば完全治癒です。
こんなに簡単にがんを診断・治療できる方法はありません。
検査してポリープも何もなければ3~5年は検査を受けなくてもよいでしょう。
50歳以上でこれまで一度も大腸内視鏡を受けたことがない方は、ぜひ一度検査を受けることをお勧めします。

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